消防職員意見発表会 原稿

kidoの作品

【消防職員意見発表】

 

こんにちは! Kidoです。
実は、私、元消防士です。

そんな経験もありまして、今回初めての作品発表は消防士時代に書いた「消防」をテーマとする作品を公表したいと思います。

 

消防は火災・救助・救急以外の現場活動の他、一般的には知られていない業務がたくさんあります。

そんな業務イベントの一環として、消防職員意見発表会というものがあります。

それは、広く消防行政に関することをテーマに、意見・提言をするイベントなのです。
優秀者は全国大会に出場し、そこで意見を披露するわけです。(スピーチ形式)

 

主に若手の職員が参加するイベントなのですが、私も何度か出場した経験がありまして、その原稿を発表したいと思います。

 

あくまでスピーチの原稿ですので、読み物としてはどうかな……

とも思いますが、こんなものもあるんだな……

と、暇つぶし程度に読んで頂けたなら幸いです。

 

全6作品   

以下目次からも選んで読めます。↓↓↓

 

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消防IT革命 【最新作】

 昨今、5G、IoT、AI、という言葉をよく耳にします。これらの技術を用いた製造業の革新は、第4次産業革命とも呼ばれ、爆発的な文明の進化となる時期にさしかかっているようです。

 そして、今年、世界的に蔓延し、まだ終息の見通しのたたない新型コロナウイルス。これにより巣ごもり、テレワーク、オンラインビジネス等、よりネットを活用した社会へと変転しようとしています。

 そんなニュースが飛び交う中、ふと、私は自分たちのしている消防業務に目を向けました。

 すると、どうでしょう…未だに、印刷し、紙ベースで決裁し、ハンコをつき、事務所は書類の山。

 きっとIT関連の関係者がこの光景を目にすれば、ここは何十年前のことをしているのだと笑われるでしょう。

 私が担当している予防業務にしてもそうです。何人もの職員が紙ベースの書類に目を通して、本を引っ張り出し、審査する。そして、またハンコをついてまわり、結果を書面で郵送する。

 このやり方では、多くの職員が必要となり、なお且つ郵送に時間を要したり、人件費・時間の削減に限界があります。

 もし、消防業務にもっとITインフラが整備されていれば、確認申請データをオンラインで、消防のシステムにデータを吸い上げ、そのデータをもとに、有窓・無窓の判定、収容人員、そして必要消防用設備等、自動で算出し、そして結果も自動返信するようなシステムを構築できるはずです。

 そこで、私は声を大にして訴えたい!

 ITコンサルタントに依頼し、消防IT革命を起こそう!

 今までも通信システム等、ある程度外部の専門業者に委託した部分は、あると思いますが、もっと大きな革命をするのです。ITコンサルの会社に徹底的な効率化を依頼するのです。

 そうすれば、一時的には多額の予算を必要となるでしょう。しかし、それは長期的にみれば確実に人件費も大幅削減され、年々縮小されている消防予算の問題対策になるでしょう。

 目先の楽をとるのではなく。長期で考えるのです。

 さきほど例にあげた予防業務で考えても、このITをフル活用したシステムを導入すれば、予防課員は10人必要であった部署でも、2人いれば十分となるでしょう。その上、収容人員の算定等の計算は、人間よりも確実にコンピューターが得意とする分野です。計算ミスもなくなるでしょう。また、人の考え方によって異なるグレーな部分もシステムで方針を設定することで、一律な指導をすることができ、住民サービスの均一化も図れるのです。   

 まだまだメリットはあります。

 近年、消防を取り巻く環境は大変厳しいもので、多種多様化する災害により法改正も頻繁に起こります。それに人間の頭脳で対応することは、かなりの苦労を強いられます。

 これもコンピューターならどうでしょう?

 法改正がある度に自動的にアップデートされ、最新の法律を常に駆使したものとなるはずです。

 もし、そうなれば、人が手を加えるのは、システムチェックや何かイレギュラーがあった時に、その情報をコンピューターに手動更新をかけたりする作業にとどまるのでないかと考えます。

 最後に、日本はこれからさらに超高齢化社会となり、人口減少問題は深刻を増すはずです。そうなれば、地方の財源はどんどん減少し、限られた予算で消防行政を運営しなければならない状況となるのは間違いありません。そういった意味でも改革は必須なのです。

 消防IT革命を起こしましょう! 新しい未来消防のために!

 

 

 

水の危険を伝えるには……

 昨年の夏、私は溺者を救助する水難救助隊に憧れを持ち、自分も水難救助隊に入り水難救助活動に携わりたいと思い、水難救助隊の適性検査を受験しました。

 しかし、結果は残念ながら不合格だったのですが、実際水難救助隊として活動している先輩方の話を聞いたり、受験前の訓練などを通して水難救助について色々考えるようになる良いきっかけとなりました。

 そもそも水難救助とは、溺水などの水難事故に対応するものですが、溺者の生存率は限りなく低いという厳しい現実を知りました。

 それもそのはず……救助隊が現場に到着するまでの間、息を止めていられる人はいないのですから……

 

 それでは、水難救助とは水難事故現場で救助活動を行うだけでなく、事故を未然に防ぐ方法を考えなければならないのではないでしょうか。

 

 では、具体的に水難事故を減少させるにはどうすればいいのでしょうか?

 

 まず、水難事故の多くは同じような場所で発生することが多いように思われます。

 私は川の近くで24年間生活してきましが、やはり水難事故多発場所という所は存在しています。

 そこでは毎年数名の方が尊い命を失っています。

 水難事故が起きやすい夏のシーズンに、そう言った場所に行き、河川の危険や川遊びの危険を広報すれば良いと考えます。

 水難事故に会われる方の多くは県外の人です。地元の人は河川の危険をよく知っています。私も小さい時から「川の水が増えてきて茶色になっている時は川に近づくな」と親からよく言われてきました。

 そういうこともあって、川は時にして恐ろしいものだという恐怖心をもっていますが、特に都会から遊びに来たような人たちには、そういう心を持っていないように思います。

 例えば、増水時にも関わらず数名だけ川に入っている人。

 飲酒していて地元の人や警察が外から呼びかけて注意しても全く聞く耳を持たない人。

 そのような人達に良い意味で川に対する恐怖心や警戒心をもってもらうためにも「この場所は毎年死亡事故が発生していますので注意してください。」

「岩場からの飛び込みは大変危険ですのでやめてください。」などの呼びかけを実際現場に足を運び実施し、言う事を聞かない人達には警察の協力なども得て直接的な指導をする必要さえあると考えます。

 もし、それで当該者と揉めるようなことがあっても、人の命がかかっているのですから……

 このように消防と警察が協力し、夏の川をパトロールし、指導すれば水難事故発生を減少させることができると考えます。

 

 次に考えられる対策としては、川の危険を訴える看板の設置です。

 今までにも「飛び込むな!危険!」など短的な看板は見たことがありますが、これでは何が危険なのかが伝わりにくいと考えます。

 何が危険なのかが分からないので興味本位で危険な行為をしてしまうのです。

 危険を伝えるにはもっと詳しくインパクトを与える看板が必要だと考えます。

 私は趣味でサーフィンをするのですが、よく行く海でこのような看板を目にしました。

「この海岸では離岸流が発生します。遊泳には十分気をつけて下さい。」と書かれており、その横に離岸流の発生しやすい場所や流れの方向を示した図があります。

 その上、流された時の脱出の仕方を分かりやすく絵で解説してくれています。

 これに習って、私たちの住む地域ですと、増水時の河川の写真と危険の説明書きなどを看板にするのも良いと考えます。

 そうする事で河川に対する警戒心は強くなると考えます。

 

 また、夏場の水難救助訓練をそういった場所で広報を兼ねて実施してみてはどうでしょうか?

 すると、そこに川遊びにきている人たちの心のどこかに「気をつけよう」という気持ちが生まれてくるのではないでしょうか。

 そればかりか、もしその場所で水難事故が発生したとしても、そこで訓練をしていれば直ぐに救助に向うことが可能になります。

 以上のような対策を実行に移し、水難事故が少しでも減少すれば幸いだと感じます。

 また、次こそは水難救助隊の適正検査に合格し、水難救助隊員として現場活動経験を積みながら、このような水難事故予防策を考えて行きたいと思います。
                                          以上

 

 

我が家の消防士

 近年、住宅用火災警報器の設置が義務化され、その普及がなされているところです。

 私達の地域にあってもそれらの普及率は高まってきており、我々消防もその普及活動や広報に全力をあげています。

 確かに、この住宅用火災警報器は火災に早期に気づき、逃げ遅れを防ぐために、とても効果的な設備です。

 実際にアメリカでは、住宅用火災警報器の普及率が90パーセントを超えると火災での死者数が半減したというデータも確認されているぐらいです。

 しかし、私は住宅用火災警報器の広報業務をしている時、ふと疑問に思ったのです。

 耳が不自由であったり、足が不自由であったりする高齢者の方が、いざ警報器が作動して、本当にすぐに避難する事ができるのだろうか?

 逃げ遅れることはないのだろうか?

 何かもっと良い方法がないのかと考え、私はスプリンクラーに注目しました。

 スプリンクラーは初期消火に効果的であり、その90パーセント以上が消火に成功しているとのことです。

 このスプリンクラーが各家庭に設置されれば、かなり効果的なものになると考えました。

 火災警報器のように火災を知らせるだけでなく、自動的に消火までしてくれるスプリンクラー……

 これが住宅にあれば、外出していても、小さい子どもの留守番でも、お年寄りの一人暮らしでも、24時間365日、命と財産を守ってくれるのです。

 

 まさに家庭の消防士なのです!

 

 そこで、実際にそのようなものがあるのか調べてみると、住宅用スプリンクラーは販売していることがわかりました。

 しかし、これほど効果的に思える消火設備がなぜ一般家庭に普及していないのでしょうか?

 やはり、スプリンクラーというと商業施設などに設置する高価な設備で、一般家庭にはコスト的に厳しいと考えられているのでしょうか。

 ですが、調べた結果、住宅用スプリンクラーは通常のスプリンクラー設備の10分の1程度の価格で設置できるようで、それで人の命が助かるのなら決して高い価格ではないと思います。

 何よりまだこの住宅用スプリンクラーの認知度が低いということが普及していない一番の原因だと感じました。

 それならば、我々消防が住宅用火災警報器を普及してきたように、この住宅用スプリンクラーの広報活動を実施して、認知度を高めるような取り組みを行ってみたらどうでしょうか。

 例えば、自治会の訓練等に参加した際に、この住宅用スプリンクラーの存在を広報し、少しずつ認知度を高めていく働きかけをすればよいと考えます。

 その他の広報の方法としては、パンフレット資料の配布、ポスターの掲示、新聞、テレビ等のメディアへの働きかけ等が考えられます。

 

 そして、各家庭にこの住宅用スプリンクラーが普及し、新築の家には当然のように設置されるようになってくれば、将来、住宅火災の逃げ遅れでの死亡は飛躍的に減少するのではないかと考えます。

 そればかりか、このような自動消火の設備は、高齢化、地域住民同士の人間関係の希薄化、消防団の減少等の問題を抱える現代社会において、必要不可欠になってくるのではないかと考えます。

 私は逃げ遅れ「0」を目指し、この住宅用スプリンクラーの普及促進を提案します。

                                          以上

 

 

想定外の想定

 昨年9月、台風12号よる被害が発生し、過去に類を見ない災害が管内に発生しました。

 当日、私は当直勤務でありました。大型台風の接近による激しい雨が一日中降り続いていたため、落ち着かない気持ちで待機していました。

 その時、指令音が鳴り「ついに何かあったか!」と、今までの不安な気持ちが的中しました。

 

 先着隊で現場についた私の眼の先には、山が半分削り取られ、増水により道も寸断、住宅は流され、私が知っている集落の面影はありませんでした。

 私が生まれて27年間、一度もこれほど大きな災害は発生したことはありません。 まさかこのような被害が身近に起こるとは夢にも思っていませんでした。

 3月11日の東日本大震災や台風12号の被害が連日報道される中、マスコミでは『想定外』という言葉をよく耳にしました。

 テレビをつければアナウンさーが『想定外』という言葉を用い、私にはそれが被害を防げなかったことに対する言い訳にしか聞こえませんでした。

 ではどのようにすれば、想定外を想定し被害を防ぐことができるのでしょうか?

 私は、今回の被害の経験を活かし、それぞれの地区また学校などで自然災害によって起こる被害を想定し、その想定に対する意見を出し合っていく様な取組が必要だと考えました。

 

 具体的には防災マップの活用が有効であると考えます。

 この防災マップまたハザードマップと言われるものは、いざ大災害が発生した時にその地域にどんなリスクが存在し、どこの場所がより危険なのかを示すものです。    

 また、場所によっては地震災害だけでなく、火災発生時や洪水発生時の危険の度合いが示されていて、いざという時により効率的な避難活動を可能にするものです。

 しかし、消防職員である私達は最近よく耳にする言葉ですが、実際に作成している地域は少なく、普及しているとは言い難いのが現状です。

 

 そこで、この災害の年をきっかけとして、この防災マップの作成を自治会、役場等、関係機関に周知し、普及促進を図ることを提案します。

 まず、我々消防が率先して防災マップを作成し、広報誌に掲載したり、各家庭に配布したり、普及活動を積極的に実施します。

 

 次に、自治会の訓練に参加した際に、防災マップの存在意味、作成方法など伝えていけば良いと考えます。

 そうすることで、地域住民が自主的に防災マップを作成するようになり、さらに各家庭で行うようになってくれば、地域全体から細部に至るまでかなり詳細な防災マップとなり普及していくのです。

 つまり、消防から地域住民へ、地域住民から各家庭へ伝えていくことで、行政レベルから各一般家庭まで共通した災害時の想定や情報が共有されるのです。

 結果として、実際に災害が発生した際には被災時の行動確認をより確実に把握でき効率的な避難活動ができるのです。

 私は今回の台風12号の混乱した現場活動を経験して、リスクの高い現場活動より、早い段階で関係機関を一つの場所に集結させ、被害状況や住民の避難状況等の情報を的確に把握することの大切さを痛感しました。

 そのためには、災害時の危険場所、避難場所、とるべき行動等、ありとあらゆる事を想定して決めておくことが必要不可欠なのです。

『想定外』とならないために……

                                          以上

 

 

山岳事故ゼロ作戦

 私は山岳救助隊員として約6年間勤務し、様々な救助活動に従事してきました。

 その一つとして、登山客が凍傷で動けなくなったとの通報があり現場に行くことがありました。

 

 現場に到着し、私はその傷病者の服装を見て唖然としました。

 何と町を歩くような恰好をしていたのです。

 もう山頂付近は雪化粧をしていると言うのに……

 近年、登山が流行しており、それに伴い山岳事故も増加傾向となってきました。

 多くの方が山を楽しみに訪れるのは良いのですが、先ほどの服装に加え、非常用の食糧も持たない、登山届を出していない等、登山客の山に対する意識の低さが感じられます。

 

 そこで、私は登山客の山に対する意識を変え、山岳事故を未然に防ぐ方法は何かないのかと考えました。

 まず一つは、看板の設置を提案します。

 看板と言っても、ほとんどの山にはコース案内のものがあるぐらいで、注意喚起を促すものや山の詳しい情報を示すものはほとんどありません。

 そこで我々消防が登山客に対して、もっと山岳の知識や山の怖さを伝えられるような看板を作り設置してはどうでしょうか?

 

 内容としては登山の正しい服装や装備品の確認ができる看板、季節に応じた山頂の気温や登山コースの危険個所を示す看板、また遭難時の対処法などを伝える看板等を設置すれば良いと考えます。

 すると、その看板を見た登山客は自分の装備品を見直し、登山の知識も得ることができます。この少しの意識と知識の向上がいざという時に役立つのです。

 さらに、ハイシーズン中は実際登山口まで出向き広報活動を実施すれば良いと考えます。

 そうすることで、最初に「気を付けよう」という気持ちが芽生え、気の緩みから来る山岳事故を減少することができると考えます。

 次に登山届ポストの設置を提案します。

 登山届とは自分の名前や住所、登山する山の名前やコース、日程等を記載し、もし何かあった時のために予め警察等に提出しておくものです。

 この登山者の情報は重要なものであり、捜索範囲を限定し早期発見早期救助に繋がるものなのです。

 しかし、この登山届が未提出の場合がかなり多いのが現状です。そのために事故が起きた時や遭難した時に、捜索や救助活動が難航することがよくあります。

 そこで、我々消防が主要な登山口に登山届用のポストを設置するのです。

 そして、登山届の用紙と筆記用具も併せと置いておきます。

 そうすることで、予め登山届を提出していない人でも、登山口のその場で書くことができます。この一筆が人の命を救うのです。

 最後に、我々消防は救助技術を学び向上させることも重要ですが、まず事故を起こさせないようにする方法を考え実行するのも私たちの重要な任務ではないでしょうか?

 今まで火災予防に力を入れてきたように、山岳事故予防も推進していくべきだと考えます。

 今後さらなる登山客の増加が考えられる中、予防策を実行に移すことは急務です。

 皆で実行しましょう! 山岳事故ゼロを目指して!

                                          以上

 

 

行動するために

 平成23年3月11日に起きた東日本大震災の影響を受け、その復興活動と共に防災意識が高まってきているように感じます。

 しかし、西日本等のほとんど震災の影響を受けていない地域についてはどうでしょう……

 本当に一人一人の防災意識は高まってきていると言えるのでしょうか?

 私は、ある自治会の訓練に消防職員として参加した際、その光景を見てふと疑問に思いました。

 参加者は毎回同じ人で、形式的な訓練を淡々とこなし、時間がくれば終了する。

 震災関連の報道が今日も続いている中、なぜもっと危機感のある訓練にならないのかと感じました。

 

 おそらく人は災害という予想できない出来事を身近に感じることができず、「自分は大丈夫やろ」という気持ちが心のどこかにあり、災害に対する恐怖心や危機感を持続することが困難なのです。

 そのため、ある自治会や学校では、防災マップの作成や、小中学校の授業に防災教育の時間を作るなど、「防災」を身近に感じ、個々の防災意識を高めるような取り組みが徐々に行われています。

 では、我々消防側からこのようなことはできないのでしょうか。

 防災に関心を持ってもらい、災害を身近に感じる・・・

 消防が発行する防災資格というのはどうでしょう。

 今や一般的に実施されている救命講習……

 これにならって防災講習を消防署で実施してはどうでしょうか。

 そして講習の最後に消防署で作成した防災テストをやってもらい、それに合格した者を「防災資格者」に認定し、認定書を交付する。

 そうすることで防災人としての自覚が生まれ、防災意識も向上し、地域に多くの防災人が育成されます。その結果、地域全体の防災力が向上するのです。

 また大きな災害で救助される8割は住民によるものですから、今後は行政が関与しない地域住民のみで行なう訓練を積極的に実施していく必要があります。

 そこで、その訓練を「防災資格者」が中心となり計画、実施されれば、地域の防災活動が活発になり、より防災意識が向上していくのではないかと考えます。

 さらにこの防災講習を小中学校等でおこなわれている避難訓練にも取り入れます。

 講習内容は学年に応じたものにし、同じようにテストを実施。合格者には資格を与え、「学級防災リーダー」になってもらいます。

 その学級防災リーダーを中心として計画した避難訓練を実施することで、訓練をもっと真剣なものにすることができます。

 自分たちで考えた訓練なら、先生の言うとおりハンカチを口に当て避難するだけの訓練ではなくなり、様々な想定が生まれ、興味を持ち、真剣に取組む。

 そしてその結果、災害に対する恐怖心まで生まれるのです。

 これが、防災資格者を育成していく最大の目的なのです。

 私たち人間は、自分たちで何かを考え、行動した時の記憶はいつまでも覚えているものです。

 しかし、覚えているだけでは、行動に移すことができません。

 何度も繰り返し訓練し、経験することで、それらの知識は高まっていきます。

 何より災害に対する恐怖心を忘れさせません。

 その恐怖心があるからまた訓練するのです。

 つまり、訓練が恐怖心を生み、恐怖心がまた訓練を生むのです。

 この二つの相乗効果が防災の知識と意識の向上になり、その積み重なった力が「行動する」という原動力になるのです。

 そのためにも私はこの防災資格の普及促進を提案します。

                                          以上

※意見発表以外の作品はこちら読書 書籍紹介 kidoの作品 

 

 

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