【ホラーエッセイ】
~私の一番怖かった体験談~
こんにちは! kidoです。
皆さん、霊は信じますか?
私はどちらかと言えば信じます。笑
と言うのも、私自身少し霊感があるのか、幼少期に霊的な体験を何度か経験しているからです。
それは映画に出てくるような怪物ではないので、それほど絵にかいたような幽霊までは信じていませんが、人間にはまだ解明できない別の世界のようなものは必ず存在していると思っています。
というわけで、今回初のホラーエッセイということで、私の霊的な体験談の一つを紹介してみたいと思います。
機会があればまた何度か紹介しますね♪
暇つぶし程度に読んで頂けたら幸いです。
私の一番怖かった体験談
あれは、僕が高校生の頃。二度と見たくないものを見てしまった。
僕はこの頃、金縛りにあうことが多かったし、「今、何か見えた気がする……」みたいな事が頻繁に起きた時期だった。
もしかすると、もともと霊的な力が少しあり、その力が一番敏感に働いていたのかもしれない。
「ただいまー」
この日、僕はいつものように部活が終わり、帰宅した。
「おかえりー ご飯できてるわよー」
母は仕事が早く終わったようで、そんな時はいつも晩ご飯の支度ができていた。
「今日のご飯なに?」
「今日はトンカツ! あんた明日試験でしょ? 勝つだけにカツよ!」
「つまんねー! 期末テストなんてどーでもいいよ」
「まあ、そんなこと言わんで頑張りなさい」
「はいよ。いただきまーす」
僕は両親が離婚してから母と二人暮らしで、この日も母とのいつもの日常だった。
晩ご飯が終わり、母も僕も風呂も済ませ、二人は台所にいた。
「さあ、寝ようかな」
母はそう言うと、台所隣の自分の部屋に入っていった。
「おやすみ」
僕も2階にある自分の寝室に行こうと思い、台所の電気スイッチをオフにした。
すると、電気が消えた瞬間、台所と母の部屋を隔てる引き戸に白いモヤモヤが浮かび上がった。
そのモヤモヤは人の形をしていた。
ゾッとした僕は、足早に2階の自分の部屋を目指した。
けれど、これくらいの現象はこの頃頻繁に経験していたので、心のどこかでまだ冷静さを保っていた。
階段を駆け上がり、螺旋状に一ひねりして最上段となるところに来て、僕は階段下を振り返るように覗き見た。
すると、驚くことに見たこともない老人男性が階段を上ってきているのである。その姿は、現世に生きる人のようにハッキリと僕の目に映った。
これはヤバイ! 僕は今までにない恐怖を感じた。
逃げるように廊下をダッシュし、自分の部屋へ駆け込んだ。
階段のギシギシ軋む音だけが聞こえてくる。
僕はとりあえず恐怖心を和らげるために部屋の電気をつけた。
階段の軋む回数が、あの老人の居場所を想像させる。
音が変わった。
階段を登り切り、廊下にさしかかったのか……
僕は必至に打開策を考えた。
部屋の東側の窓を開けて、下を覗くと田んぼに水が張っている状態を確認できた。
僕は、ここから飛び降りても大丈夫だと思い、あいつがもし部屋に入ってきたら窓から飛び降りて逃げようと考えたのだ。
片足を窓に引っ掛け、いつでも飛び降りる準備をして、聞き耳を立てた。
足音が止まった。
ついにあいつが僕の部屋の前まで来たのだと、気持ちを構えた。
「……あれ?」
数秒沈黙があり、一瞬大丈夫なのかと安堵の想いがよぎろうとした時……
ダン! と一回大きな音が鳴り響き、部屋の扉が揺れた。
そこから立て続けに、ダン!ダン!ダン! ダン!ダン!ダン! ダン!ダン!ダン! ダン!ダン!ダン! ダン!ダン!ダン! ダン!ダン!ダン! ダン!ダン!ダン と扉が破壊されるほどの音をたて揺れた。
もうダメだ。あいつの姿が目に入った瞬間飛び降りようと決心した。
だが、扉を叩く音はピタリと止み、そこから入ってくる気配はなかった。
「……あれ? 入ってこないのか? 助かったのか?」
僕は勘ぐりながら窓にかけた片足をおろした。
それから何分間扉を見つめていただろう……いつ開くか分からないその扉からなかなか目を逸らすことができなかった。
しかし、それからは何十分、何時間経っても何の変化も起こらず、僕の恐怖心もその時間とともにある程度まで和らいでいった。
僕は電気をつけたままテレビも大音量で、できるだけ賑やかな番組をチョイスして朝まで過ごした。
もちろん眠ることはできなかった。
後に母に聞いた話では、母が働いていた老人ホームは墓地跡だったらしく、勤務中に霊感の強い人は頭痛等の体調不良をしばしば訴えていたそうだ。
僕は思った。きっと母も霊感の強い方なので、職場からそこにいた霊を連れて帰ったのだろう。
数日たった日、僕はまた金縛りにあった。
うっすら細目で天井を見上げると、また白いモヤモヤが人型に変化していく。これは見たくないと思い、目を閉じると、目の中で前に見た老人の姿が浮かんだ。
それからしばらく僕は金縛りに合うたび、その老人が目の奥に浮かぶようになった。
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