社会欲

kidoの作品

【社会欲】

 

こんにちは! kidoです。

今日、労働問題ますます悪化していると感じます。

鬱病、自殺、過労死の増加。その数は災害レベルです!

 

公務員の世界もかなり厳しくなってきており、私が在籍していた頃でも残業は当然、パワハラや自殺者も目のあたりにした経験があります。

 

この作品は、私が消防士時代に何故こんなに組織が働き辛くなってきているのか、一般企業も何故皆これほど辛そうに働いているのか、そんなことに疑問を感じ、急きょ書き殴ったような作品です。

そして、前に紹介した消防職員意見発表の原稿提出に半分やけくそで上司に提出したものです。苦笑いしながら受け取ってくれたことを覚えています。笑

 

そんな作品ですが、何らか感じて頂けるものがあれば幸いです。

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社会欲

 近年、社会の厳しさが露呈される。一昔前の少しくらいなら許される時代から許されない時代へと変化した。

 これはなぜだろう?  

 我々消防を取り巻く環境もそうである。

 災害の多種多様化のみならず、公務員としての住民サービスの多様化、質の高さ等、高度なサービスを求められる社会になってきている。

 この現象は一般企業も同じ問題に苦悩している。高度なサービスを顧客は求め、サービスに対する目は明らかに厳しくなってきている。

 ミスは許されない。

 そんな厳しい社会的批判と向き合っていかなくなったのはなぜだろう?

 

 私はそれを人間の「欲」が創りだした社会と考える。

 社会学者マズローは欲求階層論を唱えている。

 人はまず生理的欲求を求め、次に安全欲求、次に社会的欲求、尊厳欲求、自己実現欲求と次々に高次元の欲求を求めて生きていくものと論じている。


 この論理に基づき社会問題を考察すると、我々人間は現時点で社会から受けているサービスに満足していたとしても、やがて、それには満足できなくなり新たな欲求、サービスを求めてしまうのである。

 これを需要と供給のバランスからみると、需要側はこのように次々と更なる高度な欲求が育ち、供給側はその高度な欲求を満たすために苦悩するようになるのである。

 現在の社会はその需要側の欲は飽和状態となり、供給側は限界状態に達しつつあるのではないだろうか?

 それは労働者の社会問題として過労死、自殺、鬱病の増加などが示している。

 これは我々消防組織にも見過ごすことのできない問題である。

 では、この厳しくなった社会を生き抜くために我々組織はどのように対応していけば良いのだろうか?

 まず、私はマズロー説に従えばこの人間の高次元を求める欲求を食い止めるのは不可能だと考える。

 需要側の欲求には歯止めはかけられない。おそらくこれからも更なる高次元のサービスを求めてくるだろう。

 そこで私は供給側である組織に何らかの緩和策を講じることで、この問題を解決する糸口になるのではないか考える。

 それは労働者の報酬である。

 つまり、インセンティブ効果である。

 これを聞けば何を今更と言う声もあがるかもしれないが、先ほどの論理に従って考えればこのインセンティブは組織として十分に果たしているだろうか?

 供給側は更なる高度なサービスを求められる中、それと比例して労働者は報酬をうけているだろうか? 

 何らかの功績を挙げ、組織に利益をもたらした職員に対して、組織は見合った報酬をあたえているだろうか? 

 報酬とはもちろん、金品、人事的な昇給を含むものである。

 これは、綺麗ごと抜きで労働者にとって何よりモチベーションの向上につながるモノである。

 この高次元のサービスを求められる時代となった今、それに対応する労働者をより大切にすること。組織の歯車一つ一つを丁寧に見直すこと。

 それを怠った組織は需要側の高度な欲へ潰されてしまうことになるだろう……

 

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